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川の水難事故を考える


 99年8月に神奈川県山北町の玄倉(くろくら)川が、増水してキャンプ客18人が流され、うち13人が死亡する事故を彷彿させる事故が、同じ水系である酒匂川で2006年に起きました。大きく報道されていたので、ご記憶の方も多いと思います。
 事故の概要は、2006年8月17日午前に酒匂川の上流部のダムの放流と酒匂川支流(鮎沢川)で降った集中豪雨が、酒匂川に流れ込んだために急激に水嵩が増し、中洲などに取り残された釣り人多数のうち、2名の方が流れに巻かれ亡くなられました。
 午前10時15分には48センチだった水位が、午前10時45分には112センチに増水し、水量が一気に6倍に跳ね上がっていたそうです。
 ダムの放水量は危険域に達していなかったため、サイレンなどの注意喚起をしていなかったそうです。しかも、鮎沢川の集中豪雨は静岡県で起き、ダムの放流は神奈川県側。両県で情報の共有がされてないために、何一つ警告が出されなかったと言う、縦割り行政の弊害も言われています。

 昔は生の葉っぱや枝など生木が、交じりながら川の水がにごりだしたら、上流で土砂崩れが起きている可能性が高く、鉄砲水(注1)が来るといけないので、すぐ逃げるのがセオリーでしたが、今回のようにダムの放流になど鉄砲水以外の増水の場合はこのセオリーが通用しません。こういう場合は岸辺に残っていた落ち葉やペットボトルなどのゴミが流れてきたら、上流が増水しているのだと考えて、すぐ避難するのが一番です。


●川を渡るなら
 川での事故は、深みにはまって溺れると思われがちですが、実は体勢を崩して転倒して流され溺れるケースの方が、圧倒的に多いです。流れが強く、石がゴロゴロの川を渡ったことのある方ならわかると思いますが、川底は凸凹なので足場が悪く、しかも水に押されて更に体勢は不安定になり、物凄く転びやすいです。今回の場合も30分間で64センチ、毎分で2センチ以上で増水している計算になります。こうなると水の濁りもあって、川底なんてあっという間に見えなくなってしまい、転ぶ確率、流される確率が格段に上がります。


 危険そうな流れには近づくべきではありませんが、どうしても渡る時は

1.杖になるものがあれば、それを使う。
 二本の足(2点)で踏ん張るより、3点で踏ん張った方が効き目があります。体重を預けても大丈夫そうな木や竹をまずは探そう。渡河用のストックも市販されていますので、渓流釣り好きのかたは用意しておくのもいいと思います。

2.渡る場所を決める。
 最短距離を狙って川幅の狭い場所を渡河するのではなく、なるべく流れのゆるい浅そうな場所を選ぶ。一般的に川幅が狭くなっていれば、それだけ水が集中しているので、流速が早いか、水深が深いかのどちらかで、条件的には厳しくなります。水が集中しない、川幅の広い場所を選ぶ方がいいです。

3.上流から下流に渡る
 対岸の目標地点より上流側から渡りだし、流れに逆らわず斜め下流を目指していくこと。流れに逆らってもいいことありません。

4.川底の状況を確認しながら進む。
 歩幅を狭め、常に足裏で川底の状態を確認しながら渡ること。また杖でも前方の状況を確認しよう。また、川底はでこぼこしているので、決して素足で歩かないようにしてください。鼻緒式のビーサンではなく、できればフィット感の良い靴の方がいいです(流れに持っていかれない。)。

5.冷静に転倒する。
 転倒しそうな時は、岩の下流側など、なるべく流れの弱い場所に極力転ぶようにする。そんな場所がない場合は、転倒しないようにする努力よりも、安全に流される方に気持ち、体勢を変えたほうがいいです。
 流れに立ち向かってひっくり返るより、流れを後から受け押し倒される方が、その後の行動(泳ぐ)に差が出ます。
 また転倒した人の多は、パニックに陥いるそうです。そのため助かる状況(足がつく)にもかかわらず、命を落とす例があります。まずは落ち着いて行動し、転倒した場合を想定しながら、歩を進めるべきです。




 99年8月の玄倉川の場合は、前夜に上流のダム管理者が放流を知らせるサイレンを鳴らしたり、警察が注意を呼びかけていたので、キャンパー達が危険を感じていれば事故にはならなかったかもしれません。

 前にテレビで見たことがありますが集団でいる場合、危険が迫っていても、みんなが行動を起こさないと、自分ひとりだけ行動するということをためらう傾向になるそうです。
 自然に対しては臆病なくらいの方が、絶対にいいと思います。危ないなとか、怖いなと思ったら、自分ひとりでも避難するのが、アウトドアでは賢者です。
 どんな冒険家でも、命知らずとか、怖い物知らずの人なんていません。怖さを知っているからこそ、時間を掛けて装備を揃え、情報を集め、体を鍛え、経験を積んでから、ことに当たっていると思います。
 それでも、命を落とす冒険家がいるのだから、しろうとの僕らは、危ない怖いと思ったらすぐ逃げる。自分の身は自分でしか守れません。








注1:土砂崩れで川が堰き止められ、一時的に小さながダムが出来るが、最終的には水圧により決壊し、下流に一気に流れる大水のこと。

参考文献:読売新聞、毎日新聞、朝日新聞






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